日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク * 活動報告

メディアは「慰安婦」問題の何を、どう伝えてきたか 〜小川たまかさんのお話から学び、ともに考える〜




日 時: 12月3日(金) 14:00〜16:30
会 場: 大阪市生涯学習センター 第一研修室
主 催: 日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

【報告】


11月25日の女性への暴力撤廃国際デーを迎え、関西ネットは12月3日フリーライターの小川たまかさんを講師に学習会を開催しました。



2015年、ネットニュースの「痴漢も人を選ぶと思いますけどね」という男性ライターの言葉をきっかけに性暴力の取材を始め、性犯罪裁判を傍聴するようになった小川さん。

その後、ブログに自分の痴漢被害体験を書くと、共感的な投稿もあったものの、非難や嫌がらせが多く、「くそフェミ」と呼ばれたことが「フェミニスト」としての出発点になりました。

加害者を支持する人たちの心には「ミソジニー(女性嫌悪)」があり、性暴力を許す女=良い女、性暴力を許さない女=悪い女と考えていると指摘します。

2016年に「私たちのストーリー」というサイトが立ち上がって、多くの女性が辛い体験を書き、2017年には伊藤詩織さんが記者会見を開き、日本に「#MeToo」が上陸して、性暴力を語りやすくなりました。

2019年3月、4件の性犯罪無罪判決が大きな話題となり、それに抗して各地で「フラワーデモ」が始まります。

その後、4件中3件が高裁で有罪となったのは、声を上げる人たちが現れ、注目が集まったからこそといえます。

とはいえ、性暴力被害者の声を聴こうとしない警察、弁護士、裁判官など男性中心の家父長制にまみれた現状は「慰安婦」問題被害者が置かれている状況と重なります。

2020年、刑法のさらなる改正のために検討会が設置され、委員に被害当事者も加わったことで2023年6月には時効の見直し・性交同意年齢の引き上げ・配偶者間の性暴力明文化などの改正に至りました。女性たちが声をあげたことが社会の変化につながったといえます。

小川さんは女性たちの語りを許さない、女を制裁したいという根深いミソジニーの根っこに「慰安婦」問題がある、そこを変えないとミソジニーは支持され続けると語りました。

日本軍「慰安婦」問題の解決なしに性暴力のない社会を創ることはできないと改めて痛感させられました。

関西ネットからは30年を経て「慰安婦」問題が女性の人権問題という本質から離れ、政治・外交問題として、政府の見解に基づく報道しかされなくなり、被害者の声は増々伝えられなくなったこと、それでもあきらめずに行動していこうと呼びかけました。
2023年12月03日(日) No.174 (報告)

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