日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク * 活動報告

関西ネット主催 韓国スタディツアー ソウル「ろうそく集会」参加とナヌムの家訪問ツアー


11月25日の女性暴力撤廃デーにソウルで行われた「2017同行の日 私たちの手で解放を!」(正義記憶財団主催)に参加し、ナヌムの家等を訪問した日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークからの報告です。
「私たちの手で解放を!」集会では、日本政府からの10億円を拒否しているハルモニたちを中心に、金福童さん・吉元玉さん・李玉善さん・安チョムスンさん、そして宋神道さん(代理受賞)の5名に女性人権賞が授与され、副賞として1億ウォンが伝達されました。受賞後、代表してあいさつに立った金福童ハルモニは「(お金は)みなさんのおかげで、金福童の名前で蝶のように飛んで行きます」と謝意を述べ、さらに、日本政府に公式謝罪と法的賠償を求め、韓国政府には「和解癒し財団」の早期解散を要求しました。予定されていた「ろうそくデモ」は大雨のため中止になりました。
26日は、「平和の碑」の制作者である金ソギョンさん・金ウンソンさんのアトリエを訪問した後、ナヌムの家でオープンしたばかりの「追悼館」・「遺品館」を見学しました。
そして、27日の朝は南山公園の「『慰安婦』記憶の場」を訪ねました。


【報告】


女性への暴力廃絶国際デ−のろうそく集会

11月25日、韓国のチョンゲ広場で、「私たちの手で解放を!」と題して、女性への暴力廃絶国際デ−のろうそく集会が開催された。雨がジャジャ降りの中、金福童さん・吉元玉さん・李玉善さん・アン・チョムスンさんの4人のハルモニが参加された。関西からも「ホンキの謝罪が未来をつくる」のバナ−と幟を持って参加した。


大雨の中、横幕を掲げて参加する関西ネットメンバーら

舞台の上では、いろいろな催しが行われた。高校生たちがずぶ濡れになりながら、日本軍「慰安婦」の物語を上演し、観衆たちを泣かせた。ハルモニ役を演じた女子高生は終演後の挨拶で号泣し、それがまたみんなの涙を誘った。小学生や中学生が心をこめて、ハルモニへのメッセ−ジを読みあげた。有名な歌手が2人登壇し、軽快なリズムの歌を披露してくれた。若者たちは雨をものともせず、舞台の前に走り寄り、一緒に歌に合わせて踊っていた。最後に、ミュ−ジカルの劇団の30人位が熱唱し、感動的だった。
雷と大粒の雨の中、それに負けじとみんな傘を差しながら、もう片手にはキャンドルを持って、最後まで集会を行った。私たち日本人の参加をとても喜んでくれ、これからもともに闘い抜くことを確認し合った集会だった。


「女性人権賞」授賞式に参加された金福童さん、吉元玉さん、李玉善さん


11/25 女性人権賞授賞式で宋神道さんに代わって梁澄子さんが参加

「平和の碑(少女像)」の作者、彫刻家キム・ウンソン、キム・ソギョンご夫妻 を訪ねて

キム・ウンソンさん、キム・ソギョンさん夫妻のアトリエを訪ね、「平和の碑(少女像)」制作へのいきさつや今の思いなどをお聴きした。穏やかで謙虚なお二人の話に胸を打たれた。(以下、話の要旨)

私たちは、「慰安婦」問題はキム・ハクスンさんの告発から社会問題になったので、すでに解決し ていると思っていた。しかし、2011 年初め、ソウルの日本大使館前を通りかかり、偶然水曜デモに出会って驚き、そしてとても恥ずかしく思った。「芸術家として何ができるか」と挺対協に相談し、その年12 月の 1000 回目の水曜デモ記念として像を作ることになった。当初、ハルモニたちの怒りの姿を考えたが、連行された時のハルモニたちの姿を表すことで人々が多くのことを感じるだろうと、今の少女の像になった。完成までには何百回も試行錯誤があった。

「平和の碑(少女像)」には、解放後に戻ってきた少女たちを社会に受け入れず、長い間、孤独と苦痛の中に放置していた韓国人としての反省が込められている。「反日」のためではない。日本のメディアはそれをまったく伝えないので、今は取材を一切断っている。今、また安倍政権が圧力をかけているが、それは逆に少女の像を広げる結果になっている。国を越えて、ハルモニたちの記憶を伝える架け橋となり、ともに平和を創っていこう。


金ソギョン・金ウンソンさんより工房内でお話を聴く


「ナヌムの家」訪問

「ナヌムの家」の訪問は初めてという 5 人と一緒に、新設された「追悼館」を見られるという期待感いっぱいで訪ねた。
到着後、「慰安婦」問題の映像を観た後、ボランティアの工藤さんに「歴史館」を案内してもらい、つらい歴史を改めて実感した。お二人のハルモニと居間で再会し、厳しさと喜びを感じつつ、「もっと頑張らなければ」と決意を新たにした。
11月 18日にオープンしたばかりの「追悼館」は、韓国風の堂々とした建物だった。写真や遺品を飾ってハルモニ一人ひとりを偲べるコーナー、ハルモニたちが描いた大きな絵を飾ったコーナー、ハルモニの手足の型の展示など、これまでとは違った斬新な印象で、ハルモニたちの意思をより感じながら追悼できる、新たな空間ができていた。裏山には、記念墓碑公園が建設中で、次回、ぜひ訪れたいと思った。
工藤さんから、「日韓合意以降、日本からの来所が激減し、国別では三番目になった。 とりわけ公立高校の修学旅行が来なくなった」という厳しい現状も聞いた。
私たちは、「闘い続けるハルモニたちとともにこれからも頑張る」と強く決意し、やや後ろ髪を引かれながら、ナヌムの家を後にした。

ナヌムの家
https://www.konest.com/contents/spot_mise_detail.html?id=1959

http://www.nanum.org/jap/main/index.php


ナヌムの家 裏庭に新たに建てられた「遺品館」「追悼館」


ナヌムの家 前景




これまでに亡くなられた被害者お一人おひとりの遺品が展示されている。
写真は左:キム・クンジャさん 右:ペ・ポンギさん

「慰安婦」記憶の場に立って

11月27日の朝、ソウル市南山に昨年建設されたばかりの「慰安婦記憶の場」へ。案内してくださった「慰安婦記憶の場」推進委員会事務長ペ・ウェスクさんは、「恥ずかしい歴史を忘れ去るのではなく、記憶することによって反転させ、二度と同じことを繰り返さない未来に繋げるためにこの場がある」と話された。<
「大地の目」は、全体が目の形になっていて、上の木がまつげにあたる。これは空からすべてが見えることを表したもの。壁面には、連行時の様子を表した絵とともに、247人の「慰安婦」被害女性の名前・12歳で連行された体験などの被害証言・ハルモニたちの闘いの経過が刻まれている。その前に立って、「決して忘れてはならない歴史事実が空から見られているのだ」と感じた。
お母さんのお腹の中にいるイメージを表した「へそ」の造形では、中央の石に、繋ぎ合った手と「記憶されない歴史は繰り返される」という意味の韓国語・英語・日本語・中国語が刻まれていた。全国から集めた自然石が回りに配置され、真ん中の大きな石に座るとゆらゆら揺れて、安らかな心で過去を顧み未来を想うことができる。「私たちも加害の歴史を反転させねばならない」と心に誓った。


「記憶の場」 (2016年8月ソウル市南山に建設)
碑石「大地の目」には247名の「慰安婦」被害者の名前と証言が刻まれている。
2017年11月25日(土) No.173 (報告)

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