3・8国際女性デーに
戦争と女性の人権博物館着工式

***希望の地を踏み固める***



■「この日を迎えられ、嬉しくて死にそう!」
 暖かな日差しを浴びた韓国西大門独立公園の一角に設置された舞台。最前列にはキル・ウォノクハルモニ、イ・ヨンスハルモニ、イ・スンドクハルモニらの姿が。一昨年初めて名のり出られて関西で証言されたイ・マクタルハルモニも遠く釜山から参席されました。かつてナヌムの家にいらっしゃって、その後釜山で一人暮らしをされているキム・ポクトンハルモニの懐かしい姿も。
 「戦争と女性の人権博物館」の着工式をハルモニたちとともに迎えるため、日本からもおよそ60名が参加、全体で400名を越える人々で会場は熱気にあふれていました。
 1994年の「女性と戦争史料館建設準備委員会」発足から15年、2003年に日本軍「慰安婦」被害者らが貯えてきた生活補助金の一部を出しあって、博物館建設のための基金がつくられてから6年の歳月を経て、ようやくこの日を迎えることができました。
 プンムル隊の楽器の音で始まったオープニングでは、韓国コメディアンや歌手たちが次々登場、祝賀の雰囲気を盛り上げようと歌や踊りで会場を沸かせてくれました。
 大阪から参加した方清子さんは2007年以降、関西で人権博物館建設募金のために証言集会や映画上映会、チャリティーコンサートと様々な人々がつながり、とりくみが行われてきたことを報告。実現の日まで引き続き行動していくことを約束しました。
 「慰安婦」問題を学習するサークルの高校生は、「私たちがいるから安心していつまでも健康でいてください」とハルモニらにメッセージを送りました。
 イ・ヨンスハルモニは、「みなさんの協力でこの日を迎えられた、うれしくて死にそうだ!」と、体中で感謝と喜びの気持ちを表現されました。
オープニングのプンムル隊 コメディアンと踊るイ・ヨンスハルモニ
私たち大阪での取り組みを報告する方清子さん 初々しい高校生のあいさつ
 
 「うれしくて死にそうだ!」イ・ヨンスハルモニ 
 会場は本当に熱気に溢れていました。韓国の若い学生も多く、チョウをかたどったプラカードを背負って建設資金カンパを集める若い挺対協スタッフも会場に活気を与えていました。韓国では若い人たちが建設運動の推進力になっているのだと実感しました。
 クォン・ヘヒョさんは言うに及ばず、出演するコメディアンや歌手なども知名度のある人ばかりのようで、女性の人気歌手が出てくると、キャーッと歓声が上がるほど。韓国の民主的な運動の底力を感じました。
 また悲しい出来事もありました。光復会など韓国の独立運動遺族の人々が会場に来て抗議行動を行ったのです。暴力的というほどではなく人数も多くはなかったのですが、彼らが私たち参加者を罵倒する様子は、哀れで滑稽なほどでした。その時舞台の上で若い高校生が挨拶している姿とは好対照でした。そしてこの光景をハルモニたちがどう思っているのか考えると、とても悲しく、腹が立ちました。
 韓国でのこのような反対運動を押さえ建設を実現させるためには、ひとつは国際的な声を挙げること。特に加害国である日本の人々が建設に力を注ぐことが、これまでになく大切になるでしょう。私たちも韓国の人たちに負けてはいられません。


■「戦争のない平和な時代を次世代に!」
  第2部は俳優のクォン・ヘヒョさんとリュ・シヒョンアナウンサーの司会で始まりました。
 この日、国会議員も民主労働党代表をはじめ8名が参加され、祝辞とともに今後の支援を約束されました。ユン・ミヒャン挺対協共同代表は、この間の経過報告とあわせて「ハルモニたちの闘いが私たちに力を与えてくれる。私たちもさらに一生懸命にやります」と決意を込めてあいさつしました。続いて、設計士である明知大学イ・ミョンジュ教授が博物館に対するイメージ、込めた想いについて語りました。博物館は地上3階、地下1階の延面積1、233、21u規模で、西大門刑務所と同じ赤いレンガが使われます。博物館には、日本軍「慰安婦」被害者が体験した肉体と精神にたいする暴力の歴史と、未来の世代のために人権と平和を学ぶ教育の空間がつくられる予定です。
 日本建設委員会代表の梁澄子さんからは、日本建設委発足後1ヵ月間に集まった募金26万円が伝達され、他にも日本から11団体が参加、合計約120万円の募金を持ってこの場に集っていることが紹介されました。また映画「オレの心は負けてない」の日本での上映運動や、最近完成した韓国語版の今後の上映運動についても語られました。
 日本から参加した歌手の李政美さんからは昨年6月に大阪で、先週には東京で開催された「つながる歌つながる舞つながるいのち」チャリティーコンサートを開催したことが報告されました。大阪のコンサートでは241万円が、そして東京ではそれ以上の収益を伝達する予定であることが伝えられ、祝賀の思いを込めて歌も披露、会場の人たちも振付で一緒に歌いました。
日本でもおなじみクォン・ヘヒョさん 建設運動について報告するユン・ミヒャン挺対協共同代表
「オレの心は負けてない」上映運動を語る梁澄子さん 「さあ、船をこぎ出そう!」と歌う李政美さん 
 
「平和な時代を次の世代に!」 キル・ウォノクハルモニ 
 最後に舞台に立ったキル・ウォノク ハルモニは「博物館は私たちのためにではなく、次の世代の人たちが人権や平和を学ぶためにこそあるのです。決して同じことが繰り返されてはなりません。ともにがんばりましょう」とあいさつ。感動と共感の拍手が会場を包み込みました。
着工式に参加したハルモニたちが外の参加者たちと最後に舞台に上がる
「希望礎」に手を置き願いをこめる
(冒頭の写真での)除幕と同時に紙吹雪が舞い 最後はみんなで記念撮影

 
チョウやリンゴの短冊に参加者の願いが書かれ、
周囲の木に結ばれました。
2月18日の水曜デモで用意されたリンゴの樹(左)は、
結局建設予定地が更地にされなかったため
植樹されませんでした。
リンゴは韓国語でサグァ、
それは「謝罪」という意味でもあります。
3年後にこの地を訪れたときには
完成された人権博物館とともにあるサグァの樹が
大きな希望の実を実らせていることでしょう。
 2012年の完成を目標に建設される戦争と女性の人権博物館の建築予算は約35億ウォン。現在約17億ウォンが集まっています。この日の着工式を契機に、日本でも、本格的な募金と建設のための活動を展開していきましょう。

ぜひとも募金にご協力下さい。
ハルモニたちの記憶を、闘いを、存在を、思いを
歴史に刻みましょう!


【郵便振替】
口座番号 00170-6-266644
口座名 女性人権博物館

「戦争と女性の人権博物館」の案内 (PDF 2069KB)