9/23集会報告

金福童ハルモニを迎えて
「根拠がないというけれど、ここに証人が生きています」

 橋下市長による8月21日の「慰安婦」問題関連発言――「慰安婦という人たちが、軍に、暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない」「あったというのであれば、韓国の人たちにも出してもらいたい」――に対して、私たちは直ちに発言の撤回と謝罪を求めて、市長に面談を求めました。しかし、24日私たちが公開質問状を持って市庁を訪問した同時刻、橋下市長は緊急会見を行っており、「意思に反して強制されたかどうか、裏付ける証拠がない」「河野談話は最悪」「軍人の秩序を保つため、いわゆる慰安所が存在したのは日本だけではないし、風俗業は今でも世界各国に存在する。慰安婦と同形態の風俗業も存在る」などと発言をエスカレートさせ、私たちの前には姿を現しませんでした。
 さらに、公開質問状への回答を待つ私たちに届いたのは「発言内容が行政機関の長として発せられたものではなく、政治家として発せられたものであるため、大阪市としてお答えできません」との回答拒否の回答でした。
 橋下市長の暴言は韓国でも報道され、非難の声が起こる中、韓国の被害者、金福童さんは「証拠を出せというなら私が行く」と大阪を訪れました。
 9月23日(日)、大阪市住まい情報センターホールを埋め尽くした人々を前に金福童さんは自らの身に起こった出来事を語られました。14歳で日本人警察や村の班長らに「軍服工場」で働くと聞かされ、断れば財産没収などの脅かしを受けてやむなく従ったところ、連れて行かれたのは陸軍軍人の性の相手をさせられるところでした。5年もの歳月、陸軍第15師団本部に従って、台湾、広東、香港、マレーシア、ジャワ、スマトラ、シンガポール、バンコクと、あらゆるところを連れ回され、性奴隷生活を強いられたこと、人間としての扱いは受けず、機械のように、ときには一日数十人もの軍人の相手をさせられたという凄まじい体験を証言されたのでした。
 「根拠がないというけれど、ここに証人が生きています。本人が生きているのに、根拠がないなんてあまりにも悔しくて、直接会おうと思ってやってきたのです」
 そして、戦争と植民地支配のもうひとりの被害当事者である在日朝鮮人に対する差別にも言及しながら、次の世代のためにも過ちはきちんと謝罪し、法的賠償をして、互いに仲良く暮らせるようにしていただきたいと訴えました。
 私たちは事前に橋下市長に集会の案内と招待券をお送りし、電話でも参加をお願いしていましたが、参加されませんでした。

9/24要請行動

橋下市長との面談および抗議文伝達
市長は姿を見せず

 翌24日、私たちは事前の約束通り大阪市長との面談と抗議文伝達のため、金福童さん、尹美香韓国挺身隊問題対策協議会代表とともに、大阪市役所を訪問しましたが、対応した担当者は「市長との面談はできない」の一点張りでした。
 市庁舎前には抗議の声をあげる仲間たちが多数駆けつけ、私たちは一階のロビーで「橋下市長は出てきて被害者に会うべきだ」と抗議し、金福童さんも「市長に会いにきました。会うまで帰れません」「言ったことに責任を取れないから出てこれないんでしょう。自分で責任がとれないことを言わないでください!」と毅然と話されました。これにより面談室は地下の会議室から8階の議会会議室に変更され、秘書部部長が対応するという結果を引き出しました。
 金福童さんは、橋下市長に直接訴えることのできない悔しさを滲ませながら、しかし静かに、「これから話すことは一言一句漏らさずに伝えてほしい」と、到底拒絶できない状況下で、しかも「軍服工場」との偽りの言葉に騙されて、日本軍の性奴隷となった壮絶な体験を話されました。「そこは戦場だったから民間人はひとりもいませんでした」「二度と金儲けのために自分の意思で勝手に行ったなどと言わないでください」と、橋下市長に向けて訴えました。
 私たちはこの場で、この日までに集まった251団体、5,747人の賛同を集めた抗議文を手渡しました。
 最後に、今後も市長の面談を求め、発言の撤回と被害者への謝罪を要求していくことを伝えて面談を終えました。
 その後、引き続き市政記者クラブにて1時間にわたり記者会見を行いました。ここでも金福童さんは記者の質問に的確に答えながら、植民地支配と戦争という時代背景の中で、逃れようもなく、性奴隷とさせられた事実を明確に証言しました。

金福童ハルモニ、大阪市との面談での発言(要旨)
(通訳:梁澄子さん)
 私たちの国が力のなかったときに、日本に国ごと奪われました。たくさんの民衆が日本の銃剣のもとに倒れました。若者たちは徴用、徴兵で、学生たちまで学徒兵という名で根こそぎ連れて行かれました。それでも足りなくて女性たちに対する強制的募集がありました。各郡や面に対して何十人という募集の割り当てがあって、それが足りない場合は幼い少女もとにかく連れて行かれました。そこは戦場だったんです。

 軍服を作る工場だと言われて連れて行かれた所で軍人の性の相手をさせられるという、この残酷な歴史をみなさんはご存知でしょうか。あのひどい日本軍の性奴隷とされた5年間、血のにじむような涙なしには過ごせなかった、踏みにじられたあの犠牲の日々をあなた方は知らないと思います。

 私は陸軍15師団の本部に連れられて戦場を行き来しました。戦争が終わったことも知らされませんでした。最後まで「慰安婦」というものを隠して私たちのことを看護師だとウソをついて第16軍病院で訓練を受けさせられました。そのような経験をしてやっと国が解放されたことを知りました。日本軍は先に撤去してしまって私たちだけが残りました。米軍が上陸して米軍の収容所に収容されました。そこで全てのことを調べられて調査を受けて調査が終わった時点でやっと韓国に帰ってくることができたのです。

 戦争が終わって60年以上経つのに未だに日本が過ちを認めないのは本当に許されないことです。現在の政府が悪いとは私は思っていません。過去の天皇制時代の過ちを現在の政府が過去に起こったことを認めて法的に謝罪と賠償をするべきです。60年以上経っても未だに私たちは本当の意味で解放されていないのです。

 市長には何も知らないくせにやたらなことを言うなと伝えてください。私は過去のことを何も知らない市長が「慰安婦」について、いただのいないだのというような暴言を吐いてはいけないと思います。私たちのことに関しても、自分の意志で、金儲けのために行った、民間人に連れられて行った、そういうことを言っています。でも日本に来るわけでもない、あの戦場に民間人がどうやって自分勝手に数千数万という人たちを連れて行くことができたでしょうか。政府が容認しなければそんなことは絶対にできなかったのです。

 日本と韓国は最も近い国です。お互いに心を一つに和解して、過去の問題を解決して法的に謝罪すべきこと、賠償すべきことをキチンとやって、仲良くやっていくということができないでしょうか。橋下市長もお子さんがいて、またご両親がいるんだと思います。もしも自分の娘が何年間もそんなところに連れて行かれて軍人の相手をさせられたと思ったらどういう気持ちがするでしょうか?再びこのような暴言をしないように記者たちの前で誓い、謝罪していただきたいと思います。
 私が今日言ったことをひと言も漏らさずに市長に伝えていただくようにお願いします。

9/25被害者ら帰国

橋下大阪市長記者会見
「日程が合えばお会いしたい」発言の真意はどこに

 翌日、午前中に開かれた定例会見で橋下市長は記者の質問に、「日本国家が、暴行、脅迫、拉致という形で国際社会から非難を受けるような強制連行をやったという、そういう証拠はないというところは、しっかりとお伝えしながら」、「日程が合えば、お会いをしたいと思ってます」と答えています。あたかもその時刻は金福童さんが帰国の準備をしているさなかであり、秘書からの電話では「会うとしても今日ではなく後日」ということでした。結局のところ、本当に会う気があったのかどうか、疑わざるを得ません。何度も面会を申し込んでいたにも関わらず、当日に休暇を取るなど誠意のない対応を繰り返していたのは市長の側です。そればかりか、当日取材のため同席した女性記者に対して、誹謗中傷など個人攻撃を繰り返していたことも市長としてあるまじき行為です。
 私たちは、今後も橋下市長が被害者の発言に対してどのように応えるのか、それを確認するため、何度でも要請行動を行います。市長の発言の撤回と謝罪を勝ち取るまで、引き続きみなさまの応援をよろしくお願いいたします。


抗議文に賛同してくださったみなさまへ
心よりお礼申し上げます

 日本軍「慰安婦」制度の被害者たちが立ち上がり、日本政府に解決を求める闘いが始まって20年が過ぎた今も、問題の解決は見えず、被害者の尊厳も回復されていません。この間、やらなかったことはないほど、あらゆる方法で日本政府や国際社会に訴え、解決への努力を積み重ねてきましたが、未だ日本政府からの心からの謝罪や賠償を手にすることができていません。そうしている間にも、多くの被害者たちが次々と亡くなっています。
 そればかりか、これまでに日本政府や日本の司法が認めてきた歴史的事実さえも否定し、被害者を貶める発言が絶え間なく聞こえてきます。この度の橋下市長発言もまさにそうです。単なる否定派の受け売りとしか思えない無自覚な発言によって、歴史を歪曲し、被害者を傷つけるもので、私たちは、とうてい看過できないと考え、行動を起こしました。
 緊急な取り組みにもかかわらず、抗議文に対して大阪、関西圏ばかりか、全国各地より多数の賛同が寄せられました。残念ながら橋下市長人気を無視できない状況があり、「慰安婦」発言が容易に人々に支持されることを私たちは恐れます。発言には嘘や曲解があり、放置できません。みなさまの支援に大きな希望と勇気をいただき、また、被害者が困難を乗り越え、大阪の地まで駆けつけてくださった意を受けて、私たちはこれからも橋下市長に発言の撤回と謝罪を求めて、引き続き、粘り強く要請行動を続けていきます。
 これからもみなさまとともに、平和で、差別や人権侵害のない民主的な社会の実現のためにともにがんばります。
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク

2012年9月24日

大阪市長 橋下徹 様
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
橋下市長による日本軍「慰安婦」問題の事実歪曲発言に抗議し、発言の撤回と被害者への謝罪を求めます
 橋下徹大阪市長は8月21日および24日の記者会見において、日本軍「慰安婦」問題について発言しましたが、その内容は歴史的事実に反するばかりか、女性の人権をないがしろにする重大な問題を含んでおり、とうてい看過できません。直ちに発言を撤回し、日本軍「慰安婦」被害者に対して謝罪するよう求めます。
 報道によれば、橋下市長は竹島問題をめぐる日韓関係の悪化の背景に「慰安婦」問題があるとし、「この問題に関する韓国との見解の違いは強制連行の事実なのか、『慰安婦』の存在自体の問題なのか」と持論を展開しました。そして、「強制連行が問題なら、軍に暴行脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」「証拠があるなら(韓国に)出してもらいたい」と述べています。また、「『慰安婦』の存在そのものを問題にするのなら、戦争状態において『慰安婦』制度というのは、今から考えると倫理的に問題な制度なのか分からないけれども、当時の時代背景において、どうだったのかを議論しなければ」と発言しています。
■日本政府の公式立場である「河野談話」を否定する根拠を示してください!
 被害者を再び傷つける発言を撤回し、被害者に謝罪してください!
 日本軍「慰安婦」問題についての日本政府の公式立場は、1993年の「河野官房長官談話」にもとづく「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに荷担していたこともあった」というものです。「河野談話」は、当時の内閣官房外政審議室の調査結果に根拠を置いています。警察庁・防衛庁・法務省・外務省などの各省庁および、国立公文書館や国会図書館、米国国立公文書館などを調査対象とし、さらに被害者や元軍人らからの聞き取りに加え、歴史研究家などへも調査を行ったものです。従って、この談話は安倍元首相を含む歴代首相が踏襲し、長年日本政府の公式立場となってきました。橋下市長はこれについて疑念を呈したばかりか、具体的な根拠を示すことなく、「河野談話は見直すべきだ」「単に(「慰安婦」だった人の)証言があればいいというわけではない。その証言に信憑性があるかをあいまいにしたまま出した河野談話は最悪だ」とまで言い捨てています。
 また、強制の証拠は韓国に求めるまでもありません。各国の被害者たちは日本政府の謝罪と賠償を求めて、日本の裁判所に10件の「慰安婦」訴訟を行なっています。すべて敗訴しましたが、8件で被害事実が認定されています。2004年12月の中国人「慰安婦」訴訟で、東京高裁は「日本軍構成員によって、駐屯地近くに住む中国人女性(少女も含む)を強制的に拉致・連行して強かんし、監禁状態にして連日強かんを繰り返す行為、いわゆる『慰安婦』状態にする事件があった」と認定しました。就労詐欺などによって「慰安所」に連れて行かれ、暴力をもって強かんされた被害者たちも、「強制」です。橋下市長の安易に政府の公的立場を否定し、被害者の証言や判決を無視する態度はとうてい弁護士資格を有する人の態度とは思えません。
 「強制連行の証拠はない」という主張は、日本軍「慰安婦」の存在を否定したい人々の常套句です。その背景には、自ら募集に応じた「商行為」だったと言って被害者を貶め、日本政府の責任を回避しようという意図があります。市長はそうした発言を鵜呑みにせず、自ら日本軍「慰安婦」問題の歴史と事実にしっかりと目を向け、勉強してください。
■戦時下であっても、女性が性奴隷とされることを容認するような発言は女性差別の最たるものです!
 さらに、橋下市長は、「慰安婦」制度があったのは戦時下で、軍隊が行ったことをもって「日本だけか」と正当化するような発言をしています。「慰安婦」制度は紛れもなく当時の国際法に違反しており、日本の刑法にも違反する犯罪行為で、戦時下であっても決して許されることではありません。
 1991年以降、アジア各国で「慰安婦」被害者が名のり出られ証言されましたが、日本政府は一貫して法的に解決済みという立場で、被害者の訴えを退けてきました。これに対し、国際社会からも解決を求める声があがっています。国連の人権委員会、社会権規約委員会、自由権委員会、女性差別撤廃委員会など様々な機関が日本政府に被害者への公的謝罪と賠償を求めています。2007年にはアメリカ下院議会を皮切りにオランダ、カナダ、欧州議会で「慰安婦」問題の解決を求める決議があがっています。いずれも背景にあるのは「日本軍『慰安婦』制度は女性に対する最大の人権侵害であり、戦時性暴力の象徴だ」という考え方であり、この問題の解決は世界の人々にとっても重要な関心事であるということです。
 日本を含むアジア各国の多数の女性たちが、過酷な状況で自分の意に反して日本軍兵士の性のはけ口とされたことを、「戦時下だったから、倫理的に問題がない」とは、耳を疑う発言です。
 言い換えれば、橋下市長の女性に対する人権意識はその程度のものだと言うことができ、そんな人を大阪市長にしているとは恥ずかしい限りです。
■大阪市会で採択された「意見書」に矛盾する発言に説明を求めます!
 こうした国際社会の声に押され、国内でも市民らによる地方自治体での「慰安婦」意見書を求める運動が拡がりました。大阪市においては2010年10月に、「日本軍慰安婦問題の早期解決に関する意見書」が採択され、「河野談話に矛盾しないよう、慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復とともに、今なお存在する女性への暴力・人権侵害の解決に向け、誠実に対応されるよう強く要望する」との意見書を政府に提出しています。このたびの橋下市長の発言は、これに真っ向から反するもので、大阪市長として矛盾した対応であり、絶対容認できません。
 以上、一刻も早い発言の撤回と謝罪を求めます。
賛同団体 255団体
賛同人 6,251人


【以下、賛同団体】
I女性会議、T女性会議岡山、I女性会議・京都、I女性会議なら、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、アジア共同行動日本連絡会議、アジア共同行動(AWC)日本連絡会議・首都圏、アジア女性資料センター、アジア労働運動研究所、アジェンダ・プロジェクト、アヒンサー 人に地球にやさしい社会をつくる会、アムネスティ・インターナショナル日本「慰安婦」問題チーム、「慰安婦」問題解決オール連帯ネットワーク、「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・茨木、「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・吹田、「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・豊中、「慰安婦」問題を考える市民の会、「慰安婦」問題の解決を求める北摂ネットワーク・箕面、「慰安婦」問題を考える女たちの会・岡山、「慰安婦」問題を考える会・神戸、イコーリティ=男女共同参画をすすめる会、いちはら市民ネットワーク、一般社団法人みもざの会、イマジン@せや、イラク判決を活かす会、イラク判決を守る会、ウィメンズネット 旭川、AWS、NPO法人女性と子ども支援センターウィメンズネット・こうべ、NPO法人女性ネットSaya-Saya、NPO法人スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク、NPO法人全国女性シェルターネット、NPOぽっぷす、大阪市職員労働組合住之江区支部、大阪大学附属病院看護師労働組合、小川町シネクラブ・関西、おんな労働組合(関西)、過去と現在を考えるネットワーク北海道、風をおこす女の会、Cafeナビ、ガブリエラ・東京、ガブリエラ・名古屋、神奈川ネットワーク運動 緑ネット、川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会、釜ヶ崎反失業連絡会共同、釜ヶ崎日雇労働組合、関西共同行動、関西合同労働組合、関西合同労組大阪支部、関西合同労働組合兵庫支部、関西合同労働組合日本管検工業分会、旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全国同時企画・京都実行委、旧日本軍による性的被害女性を支える会、9プラス25改憲阻止市民の会・宝塚、教育合同労組・愛知、京都生協の働く仲間の会、京都府議会で「慰安婦」問題解決の意見書をもとめる会、キリスト者・九条の会北九州、KAFINセンター、KDMLフィルム・ソサイエティ、ケパリの会、原発八女ん会、憲法9条―世界へ未来へ近畿地方連絡会、憲法9条−世界へ未来へ連絡会、憲法9条−世界へ未来へやまぐち連絡会、公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会、公的援助法実現ネットワーク被災者支援センター、神戸国際キリスト教会、神戸国際キリスト教会、高麗労連、5.3改憲阻止共同行動実行委員会、子どもたちの未来をそこねる教科書に反対!北九州ネットワーク、子どもと女性のためのカウンセリング・ルームWSM、子どもの人権と教科書の問題を考える新居浜の会、ごみを考えるネットワークえひめ、小弥「君が代」処分を考える会・東京、コリアン・マイノリティ研究会、在日韓国人学生協議会、在日韓国青年会大阪府地方本部、在日韓国青年会生野支部、在日韓国青年会東大阪地協支部、在日韓国青年会北摂支部、在日韓国青年同盟大阪府本部、在日韓人歴史資料館、在日大韓基督教会 全国教会女性連合会、在日の慰安婦裁判を支える会、在日本朝鮮民主女性同盟兵庫県本部、さくら・市民ネットワーク、サークル“ジョアン・川崎”、 サポートユニオンwithYOU、JR総連大阪府協議会、JR総連近畿地方協議会、JR総連中国地方協議会、JR総連広島県協議会、JR東海労働組合静岡地方本部、JR西日本労働組合明石電車区分会、JR西日本労働組合網干総合車両所分会、JR西日本労働組合尼崎電車区分会、JR西日本労働組合岩国運転区分会、JR西日本労働組合営業分科会、JR西日本労働組合大阪新幹線運転所分会、JR西日本労働組合金沢地区分会、JR西日本労働組合関西地域本部、JR西日本労働組合京橋電車区分会、JR西日本労働組合京都工務分会、JR西日本労働組合京都総合運転所分会、JR西日本労働組合神戸工務分会、JR西日本労働組合車両技術分科会、JR西日本労働組合中央本部、JR西日本労働組合中国地域本部、JR西日本労働組合富山地区分会、JR西日本労働組合新見分会、JR西日本労働組合日根野電車区分会、JR西日本労働組合姫路列車区分会、JR西日本労働組合広島運輸分会、JR西日本労働組合広島新幹線運転所分会、JR西日本労働組合広島地方本部、JR西日本労働組合福岡地方本部 博多総合車両所分会、JR西日本労働組合福知山分会、JR西日本労働組合福山分会、JR西日本労働組合本部工務分科会、JR西日本労働組合森ノ宮電車区分会、JR西日本労働組合山口支部、JR西日本労働組合山口分会、JR西日本労働組合米子分会、JR西日本労働組合和歌山分会、ジェンダーフリーネット茨木、思想運動関西事務所、自治市民21三鷹、自治労天理市職員組合、市民活動団体 エンパワメント山形、市民ネットワークちば、市民ネットワーク千葉県、市民ネットワークちば・中央、市民ネットワークみはま、市民のひろば、社会福祉法聖フランシスコ会 ふるさとの家、首相靖国参拝「福岡判決」を活かす会、女性国際戦犯法廷ハーグ判決を実現する会、新空港反対東灘区住民の会、新座・性と子育てを考える会、真宗大谷派 速成寺、新日本婦人の会 滋賀県本部、水平社博物館(公益財団法人 奈良人権文化財団)、杉並の教育を考えるみんなの会、聖公会平和ネットワーク、星砂の会、性暴力を許さない女の会、セクシャルハラスメントと斗う労働組合ぱあぷる、全港湾大阪支部、全国金属機械労働組合港合同、全国金属機械労働組合港合同田中機械支部、全国金属機械労働組合港合同南労金支部 、全国フェミニスト議員連盟、戦後責任を問う・関釜裁判を支援する会、戦時性暴力問題連絡協議会、戦争と女性の人権博物館(WHR)日本建設委員会、戦争と平和を考えるつどい、戦争反対・平和の白いリボン神奈川、戦争への道を許さない女たちの仙台の会、戦争を許さない女たちのJR連絡会、戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会、全日本建設運輸連帯労働組合近畿地方本部、全日本港湾労働組合関西地方大阪支部、曽根九条の会、第二次不二越強制連行・強制労働訴訟を支援する北陸連絡会、台湾の元「慰安婦」裁判を支援する会、脱原発!フェミ集合、田布施町まちづくり研究会、多文化共生フォーラム奈良、多摩女性学研究会、男女平等をすすめる教育全国ネットワーク、中央地域日朝共闘、都留文科大学生活協同組合労働組合、東京都学校ユニオン、東北アジア情報センター、時を見つめる会、(特活)コリアNGOセンター、特定非営利活動法人 在日外国人問題研究会、怒髪天を衝く会、なかよし文庫、中崎クィアハウス、奈良 在日コリアン青年の会、21世紀を愉しむ会、日韓・日朝の明日を考える釧路かささぎの会、日本AALA三鷹支部、日本貨物鉄道労働組合関西地方本部、日本キリスト教会 日本軍「慰安婦」問題と取り組む会、日本基督教団大阪教区日韓宣教協約委員会、日本キリスト教団北海教区、日本軍「慰安婦」問題の解決に向けた意見書可決をすすめる会、日本軍「慰安婦」被害女性と共に歩む大阪・神戸・阪神連絡会、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク、日本軍「慰安婦」問題の解決をめざす北海道の会、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める会・中村、日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求める奈良ネット、日本軍「慰安婦」問題を考える会・尼崎、日本軍「慰安婦」問題を考える会・福山、日本キリスト教会 横浜長老教会 靖国神社問題委員会、日本基督教団西中国教区靖国神社問題特別委員会、日本軍「慰安婦」問題の解決のために行動する会・北九州、日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求める請願実行委員会(京田辺市)、日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求めるネットワーク奈良、日本コリア協会・福岡、日本とコリアを結ぶ会(下関)、<ノーモア南京>名古屋の会、VAWW RAC (「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター)、働く女性の人権センターいこ☆る、花こころ、早よつくろう!「慰安婦」問題解決法・ネットふくおか、バヤン・ジャパン、反戦と権利―世田谷の会、反「入管法」運動関西交流会、阪南中央病院労働組合、ピースサイクル全国ネットワーク、東日本旅客鉄道労働組合水戸支部、「日の丸・君が代」の強制に反対する東大阪保護者と教職員の会、「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会、被爆二世の会、兵庫県精神障害者連絡会、フィリピン人移民センター(FMC)、フィリピン人元「従軍慰安婦」を支援する会、フィリピン・ソサエティ・イン・ジャパン(PSJ) 、フェミニストカウンセリング堺、ふぇみん大阪、ふぇみん婦人民主クラブ、福岡スピーチクリニック、福退教遠賀・中間支部「女性史を読む会」、仏教徒非戦の会・福岡、部落解放同盟大阪府連合会女性部、部落解放同盟奈良県連合会女性部、部落解放同盟全国連合会奈良・古市支部、ペイ・エクイティ・コンサルティング・オフィス(PECO)、平和憲法をひろげる兵庫県民会議、平和・人権・教育と文化を考える会、平和と平等を拓く女たちの絆(OPEN)、平和と民主主義をめざす全国交歓会、平和をつくる筑紫住民の会、北京JAC(世界女性会議ロビイングネットワーク)、辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動、ベルリン・女の会、「報道と女性」研究会、mind life mental care room、ミグランテ・ジャパン、ミグランテ・名古屋、みのお・平和のまちをつくる会、民族を考える研究会、元自衛官連絡会、ユニオンおおさか、ユニフィル・岐阜、ヨンデ・ネット大阪(日朝日韓連帯大阪連絡会議)、リブ・イン・ピース☆9+25、労働組合なにわユニオン、労働者共闘、労働者女性解放集会実行委員会、

(以上)

橋下徹大阪市長(9/25)発言に対する私たちの立場
2012年9月27日
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
 9月25日、橋下徹大阪市長は記者会見において、「『慰安婦』の方の意見にも耳を傾けたい」と発言されたそうですが、前日の9月24日私たちは、事前申入れを重ねたうえで、韓国から来日されていた日本軍「慰安婦」被害者とともに大阪市庁に橋下市長を訪ねました。その場でも再度、強く面談を申し入れたのにもかかわらず実現しませんでした。その様子は、多くのメディアの方も側で見ておられたとおりです。86歳の被害者が、「私は市長に会いに来たのです」と何度も言われました。それでも、市側は「本日、市長は公務がないので来庁していません。所在は確認していないので、連絡は取れません」とはねつけておきながら、その翌日のこの発言は大変失礼です。私たちは、この言葉を信じるに足る人間性を、橋下市長に感じることができません。
 さらに、その「耳を傾ける」前置きとして、橋下市長は「国家が強制連行をやった証拠はないことはしっかりと伝えながら」と述べられています。そのことは、被害者自身が「国の関与がなくて、あれだけ多くの女性を『慰安所』に送ることはできない」と一番訴えておられることです。前日9月24日に、橋下市長に直接訴えることができない悔しさを押さえながら、被害者はご自分の体験から今の思いまでの長い訴えを対応した市職員を前にされました。お二人の市職員の方も、日本軍「慰安婦」被害者のお話を直接聴かれるのはおそらく初めてだったでしょう。とても真剣に聴かれている様子が伺えました。そのお二人に、被害者は「私の話をひと言も漏らさず市長に伝えて」とお願いされました。橋下市長は、その報告を聞いたうえでこの発言をされたのでしょうか。「耳を傾ける」と、一見被害者に寄り添うような言葉をかけながら、このような反対の立場での前置き発言をされるとは、被害者を大変侮辱しています。橋下市長には、「苦労を重ねてこられた被害者たちを、これ以上踏みつけることはやめていただきたい」と伝えたいです。

 橋下市長が日本軍「慰安婦」問題について発言して以降の経過は、次のとおりです。

<8月21日> 橋下市長が定例記者会見で、「慰安婦」問題について、歴史歪曲・女性差別発言を行った。「慰安婦という人たちが、軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない」「あったというのであれば、韓国の人たちにも出してもらいたい」
<同月23日> 大阪市に、「24日に公開質問状を持って行く。市長と面談したい」と申入れた。面談は拒否された。記者クラブに、24日に記者会見開催を申入れた。
<同月24日> 11時 大阪市に、橋下市長宛の公開質問状を提出。市長との面談は再度拒否され、政策企画秘書部総務担当課長らと面談。この質問状提出について、市長にも報告済と確認。回答を一週間以内にと求めたが、市側は二週間以内にと、約束した。12時〜 記者会見。一方、公開質問状が提出されると報告を受けていたのに、橋下市長は11時前から緊急記者会見を行い、「慰安婦」問題についてさらに踏み込んだ発言を行った。「意思に反して強制されたかどうか、裏付ける証拠がない」「河野談話は最悪」
<同月29日> 関西ネットは、橋下市長への抗議文の賛同人・団体の募集を開始。
<9月7日> 回答が約束された日。6日・7日と市に連絡したが、「行政は回答できない。上と相談する時間がなかった。週明けまで時間をいただきたい」と言った。この日、大阪市会は、「李明博韓国大統領の言動に抗議し、政府に対韓外交の見直しを求める意見書」を決議した。この中で「慰安婦」問題について、「完全かつ最終的に解決」と書かれており、2010年10月に決議された「日本軍『慰安婦』問題の早期解決に関する意見書」とは、全く反対の立場のものである。
<同月10日> 公開質問状に対して、大阪市政策企画室長名でFAXが送られてきた。「発言内容が行政機関の長として発せられたものではなく政治家として発せられたものであるため大阪市としてお答えできません」という内容。二回の記者会見共に、大阪市のボードの前で行われ、大阪市の名前で、すでに「You Tube」にアップされているのに、どうして市長としての発言ではないと言えるのか。
<同月18日> 市へ、「24日に抗議文を持って行く。被害者が行くので市長と面談をお願いしたい」と申入れた。市側は、「市長は会いません」。記者クラブへも、24日の記者会見を申入れした。
<同月20日> 市へ再度電話した。(関西ネット)「24日は失礼のない対応をお願いします」(市)「どういうことですか」(関西ネット)「高齢の被害者が来られるので、ちゃんとした会議室で迎えるとか、お茶を出してもらうとか」(市)「前回と同様です」(関西ネット)「市長にも会ってほしい」(市)「会いません」
<同月23日> 「私が日本へ行って話す」と言って来日された日本軍「慰安婦」被害者の金福童(キムボットン)さんが、集会で発言。新聞などで報道された。
<同月24日> 11時 金福童さん・韓国挺身隊問題対策協議会尹美香(ユンミヒャン)代表らとともに大阪市庁を訪ね、橋下市長との面談を、再度、その場でも強く申入れた。しかし、実現しなかった。秘書部長らを前に、金福童さんは、「男たちだけでは足りなくて、女も少女も連れて行かれた。『軍服を作る所へ』と言って連れて行かれた所が『慰安所』だった。5年間、血のにじむような、涙なしでは過ごせないような日々をあなたたちは知らないだろう」「もう70年近く経つのに、未だにこのようなことが続いているのは許せない」「市長は何を知っていると言うのだ。でたらめを言うなと伝えてほしい」。そして、「在日の人たちはなぜ日本に来たのか、なぜ故郷も知らずに暮らしているのかということを考えてほしい。日本はその人たちを助けなければいけないのに、子どもたちの学ぶ権利を侵しているのはおかしい」と、30分近くも話された。市は、市長にすべて伝えると約束した。同時に、5,747名251団体の賛同者・団体とともに、橋下市長への抗議文を提出した。


 実は、9月25日11時32分、橋下市長は秘書部総務担当を通じて「会ってもいい。日程はどうか」と、突然問合わせて来られました。あまりに突然でした。今日の行動予定を踏まえたうえで、被害者たちは帰国のしたくをしている最中でしたが、「午後には帰国するので、今すぐなら行ける」と伝えました。ところが、市の担当は「今日は予定があり調整できない」と言われました。私たちから昨日の市長面談の希望を事前に何回も申入れているにもかかわらず、一方的に拒否し続けておいて、突然の問合せとは、橋下市長はあまりに勝手ではないでしょうか。高齢の被害者たちにとっては、近い日本への旅でさえも大変な負担です。来日は伝えてあるのですから、本当に会いたいのであれば、日程調整はもっと事前にできたはずです。私たちは、「会ってもいい」という橋下市長の本意を測りかねます。
 この問合せのことを聞いた金福童さんは、「昨日言いたいことはすべてお話した。主張を撤回、謝罪したいと言うのならともかく、もう一度来たら話を聞くというのか」と憤慨され、尹美香さんも「年老いた被害者が韓国からやってきたにもかかわらず、その時間に市長が来庁せず、ツイッターで否定的な発言をしていたというのは、人として許されないことだ」とコメントされました。
 また、本日の記者会見でも、橋下市長は「暴行、脅迫、拉致はなかった」と持論を述べられています。「強制連行」がなかったら国に責任がないと言いたいのでしょう。しかし、私たちも機会あるごとに伝えていますが、日本軍「慰安婦」制度については、当時の軍と政府が創設から管理まで深く関わっていたことは多くの証言や資料で明らかになっており、「河野談話」も調査のうえ、「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり」と認め、日本の裁判所でも被害事実が認定されているのです。橋下市長から問合わせがあれば、いつでも詳細な説明をさせていただきます。
 橋下市長は、9月23日の集会や市庁での金福童さんのお話が多くの人々に深い感銘を与え、大きな反響を呼んでいることにあわてて「会ってもいい」などと発言されたのでしょう。金福童さんは、どのようにして「慰安所」に連れて行かれ、どのような被害を受けたのか、そこに「暴行、脅迫、拉致はなかった」と言えるのかなど、24日に市庁でも話してくださいました。橋下市長は、なかなか聴くことができない体験を聴くという貴重な機会を逃してしまわれました。
 橋下市長はご自分でも重要な発言をしたという自覚があるようですが、それならば発言の前に「存在しない」文書による証拠を探すだけでなく、朝鮮半島、中国、台湾、フィリピン、マレーシア、オランダなどなどの「存在している」被害者に会い、体験を聞いてから責任ある発言をすべきだったでしょう。話を聴く気持ちがあるのなら、高齢の被害者が遠くから訪ねてくるのだから休日を返上してでも会うべきだったのではないでしょう。
 橋下市長が「会ってもいい」と言われたことは評価し、被害者の思いと、大阪市をはじめ全国各地から賛同を寄せてくださった人々の思いを汲み、今後私たちが引き続き市長との面談を求めていくつもりです。

 橋下市長の記者会見をご存じない方、実際にみたい方はこちらをどうぞ。You Tubeにアップされています。
 橋下市長の言っていることはウソばかり。歴史わい曲もはなはだしいです。そもそもが安倍内閣での閣議決定は「文書での証拠はなかった」というだけのもので、安倍首相自身に河野談話を否定したいという意図はあったのでしょうが、結局否定することはできませんでした。閣議決定と談話のどちらが重いかという問題ではありません。結局は安倍内閣も河野談話を踏襲する立場だったのですから。そして安倍首相は諸外国に批判され、「被害者に謝罪する」と(被害者自身に対してではなく、あろうことか)ブッシュ大統領に謝罪したのです。これは多くの被害者の怒りを買いました。
 安倍首相の欺瞞と失態を、私たちは決して忘れません。
 そして(多分その事実を知った上で意図的に)ウソをばらまく橋下市長を、私たちは決して許せません。
 
     8月21日記者会見(00:00〜11:20/21:00〜32:50)
     8月24日記者会見(10:12〜37:40)


 またすでに、21日の記者会見を受けて、24日に下記の公開質問状を手渡しています。
2012年8月24日
大阪市長 橋下徹 様
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク
日本軍「慰安婦」問題についての見解に関する公開質問状
 私たちは日本軍「慰安婦」問題の解決を求めて、全国の仲間とともに活動を進めている市民団体です。
 橋下徹大阪市長は、8月21日の記者会見で「竹島」問題に関する見解を問われ、関連して「慰安婦」問題に言及しています。それに関して、事実に反するばかりか、女性の人権をないがしろにする看過できない重大な問題を含んでいると私たちは考え、以下質問するとともに、早急な謝罪と発言の撤回を求めるものです。回答は、一週間以内に文書にてお願いいたします。

(質問1) 日本軍「慰安婦」問題についての日本政府の公式立場は、1993年の「河野談話」にもとづく「軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに荷担していたこともあった」さらに「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」というものです。市長は「軍に暴行脅迫を受けて連れてこられたというその証拠がない」と発言されていますが、「河野談話」およびその根拠となった調査結果に異議を申し立てているということでいいのでしょうか。

(質問2) 大阪市は2010年10月に、日本軍「慰安婦」問題の早期解決に関する意見書を採択し、「河野談話に矛盾しないよう、慰安婦問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復とともに、今なお存在する女性への暴力・人権侵害の解決に向け、誠実に対応されるよう強く要望する」と、市議会の意見として政府に伝えたところです。このたびの発言は大阪市長として矛盾した内容ですが、その点についてどのように考えていますか。市議会へは、どのように説明しますか。

(質問3) 今回、市長は「慰安婦」制度について、「今から考えると非常に倫理的に問題な制度かもわからないけど、当時の時代背景において、どうだったのか」と語られています。「慰安婦」制度は当時においても国際法に違反しており、日本の刑法にも違反する犯罪行為でした。現在、国際社会からも「慰安婦」制度は女性に対する最大の人権侵害であるとして、日本政府に早期解決が求められています。日本を含むアジア各国の多数の被害女性たちが過酷な状況下で日本軍兵士の性のはけ口とされたことを、「戦時下だったから、倫理的に問題がない」と言っておられるのでしょうか。改めて、意見をお聞かせください。

(質問4) 市長は歴史教育の必要性を以前から強く主張されています。このたび、「自国にとって都合の悪いことを教えないという教育では、各国との論争もできない」とも言われています。しかし、「慰安婦」問題については、中学校の歴史教科書で年々記述が縮小され、昨年の検定によりあらゆる教科書から消されてしまったということを、ご存知でしょうか。これについて、見解をお聞かせください。

 これについて、大阪市より9月10日にFAXで回答がありました。

 平素は、何かと大阪市行政にご協力をたまわり誠にありがとうございます。
 この度、大阪市長 橋下徹あてご要望いただきました『日本軍「慰安婦」問題についての見解に関する公開質問状』への回答につきましては、ご指摘いただいている発言内容が行政機関の長として発せられたものではなく政治家として発せられたものであるため大阪市としてお答えできません。ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 大阪市長の発言でないのならば、なぜあのような市庁舎の中での公人・市長としての記者会見の場で、市政に関わりのないことを放言することが可能なのでしょうか? 橋下自身も「維新の会代表として…」というようなことを言っていますが、ならばなぜあの場で言うのか?!
 もう一度YouTubeを確認してください。背景は大阪市の広告で、YouTubeにアップしているのも大阪市です。あの発言を世間に広めるのも、市役所が「業務」として行っていることです。なのに、大阪市には責任がない?!
 橋下市長は部下には「政治的発言をすると処分の対象になる」という条例を押しつけ、しかし当の本人は公人としての立場が求められる場で私人として発言することも可能なのです。
 こんな理不尽が許されてよいのでしょうか!
 そればかりではありません。
 大阪市会は、政府に対韓外交の見直しを求める意見書を、9月7日に可決しました。なんとこれは共産党を除く、維新、自民、公民、民主の賛成によって可決されたのです。
 これは対話による解決ではなく、つきつめれば戦争にまで踏み込みかねない、とても危険な内容です。

李明博韓国大統領の言動に抗議し、政府に対韓外交の見直しを求める意見書
 韓国の李明博大統領は、8月10日に島根県竹島に不法上陸した。このような行為は、これまでの日韓の信頼関係を根本から覆すものであると言わざるを得ない。日本政府はこの事態を深刻に受け止め、韓国に対し、わが国の断固たる抗議の意思を伝えるとともに、早急に対応方針を固め、毅然とした措置をとらねばならない。
 また、李大統領は、同14日、天皇陛下の韓国訪問に言及し、「韓国を訪問したいなら、独立運動で亡くなった方々に対し心から謝罪をする必要がある」と述べた。そもそも、天皇陛下の韓国訪問については、李大統領が平成20年に来日した際、両陛下に直接招聘したものであるにもかかわらず、今回、謝罪がなければ「訪韓の必要がない」などと発言することは、極めて礼を失するものであり、到底容認できない。
 さらに、李大統領は同15日の「光復節」での演説で、いわゆる従軍慰安婦問題についても言及し、「日本の責任ある措置を求める」などと述べているが、そもそも1965年の日韓基本条約において、諸問題は「完全かつ最終的に解決」されている。このように、政府が対韓融和路線をとり続けていることにより、韓国の行動は歯止めが効かなくなっている。
 よって国におかれては、竹島問題の重要性に鑑み、国際司法裁判所(ICJ)提訴にとどまらず、日韓通貨協定更新の見直しなど、対韓外交の総合的見直しを進めるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成24年9月7日
大阪市会

 意見書は、李明博韓国大統領を批判するのと同時に、日本軍「慰安婦」問題を根底から否定しかねない内容となっています。
 日本軍「慰安婦」問題についてはこの間、韓国憲法裁判所の決定により韓国政府が日本政府に対して協議を申し入れしているにもかかわらず、日本政府は無視し続けてきました。日本政府の不作為と不誠実がこの間の日韓関係の悪化の原因であるにもかかわらず、意見書では「対韓融和路線をとり続けていること」が原因であると断じています。事実から全くかけ離れ、日本軍「慰安婦」被害者の尊厳を傷つけ、日本国内の排外主義ばかりを煽るこのような意見書を、私たちは絶対に許せません。
 大阪市会は2年前に日本軍「慰安婦」問題の早期解決を求める意見書を可決しているにもかかわらず、今回の意見書でこれを反故にしました。2年前は維新の会はまだなく、民主・公明・共産の賛成により意見書は可決されましたが、維新の会が台頭したことにより、大阪の政治状況はここまで良識をかなぐり捨てるまでになったのです。 
 私たちはこのような橋下市長と大阪市会の動きを看過するわけにはいきません。