日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク * 活動報告

台湾の被害者Mさん死去


訃報
2020年11月17日、台湾の被害者Mさんが亡くなっていたことを知りました。台湾の被害者の支援活動をしてこられた柴洋子さんに紹介していただきます。

**********

Mさんは1924年4月花蓮生まれのタロコ族の女性です。2020年11月17日に96歳で亡くなりました。
Mさんは、きれいな日本語を流ちょうに話す、もの静かなカトリック信者でした。
原住民の日本軍性暴力被害女性たちがそうであったように、Mさんも花蓮に駐屯していた日本軍の部隊で作業をするようにと警察官にいわれ、部隊で働くようになりました。最初は作業をしていたのですが、1ヶ月後くらいから山をくりぬいて作ったような洞窟(倉庫にしていた)に呼び出され、強かんされるようになりました。
それは1944年12月〜1946年3月の約1年3ヶ月のことです。


Mさんは、近くに娘さんたちがいるとはいえ晩年は一人暮らしで、訪問するたびに何度も同じ話を繰り返すようなりました。繰り返されるその話は決まって学校へ通う話であり、自分たちの時は4年生までだったと残念そうに話す姿はもっと学校へ通いたかったんだなあと思わせるものでした。

だんだん足腰が弱くなり、ソファに座っていることが多くなっていたのですが、私たちが帰る段になると立ち上がって出口で見送ってくれました。
いつも別れるとき、「もしかしたらこれが最後かもしれない」と胸傷む思いで出口にたたずむMさんの姿を見つめましたが、コロナのために訪問する機会を失ったこのときに亡くなられたことは本当に残念です。コロナの問題さえなければその後3回は会えたはず、などとと思ってしまいます。

Mさんが亡くなったいま、台湾の生存者は同じタロコ族の女性ただ一人になりました。

2020年11月17日(火) No.116 (訃報)

No. PASS