日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク * 活動報告

金福童 死去




皆さま

日本軍「慰安婦」被害者として早くから証言活動を行い、世界各国を回って性暴力の根絶や女性の人権、平和を訴え続けてきた金福童ハルモニが1月28日午後10:41逝去されました。

金福童ハルモニは、1940年満14歳の時に戦場に連れて行かれ、日本軍性奴隷としての壮絶な体験を強いられました。
戦場を生き抜き、1947年にようやく帰郷を果たしました。
しかし、その後も過去の記憶に苦しみながら過酷な人生を送られました。
1992年3月、元「慰安婦」であったことを明らかにしてからは世界各地を回って日本 軍の性暴力の実態について証言、日本政府の心からの謝罪と賠償を求めてきました。
さらに、今も世界各地の武力紛争下で蔓延する性暴力問題を解決するため「ナビ基 金」を設立、支援活動を展開してこられました。
ベトナム戦争で韓国軍によって性暴力被害を負った女性と子どもたちに対しても、 「ナビ基金」を通して支援し、自ら謝罪もしました。
また、日本において朝鮮学校の子どもたちが差別的な制度によって学ぶ権利を奪われていることに胸を痛め、奨学金支援などを重ね、「金福童の希望」をたちあげました。
南北統一を願い、戦争のない平和な社会を誰よりも強く願ったハルモニですが、その日を待つことなく旅立たれました。
ハルモニが切り拓いた道を私たちは多くの人々とともに歩んでいきます。

ハルモニの葬儀は「女性人権運動家・金福童市民葬」として1月29日よりセブランス 病院葬礼式場にておこなわれます。 2月1日は出棺と日本大使館前での路祭(告別式)を行った後、納骨式は天安「望郷の丘」にて執り行われます。


=略歴=

1926年 慶尚南道梁山(ヤンサン)で出生
1940年 満14歳で日本軍「慰安婦」として連行。広東、香港、マレーシア、インドネシア、 シンガポールなど日本軍の侵略経路に従い移動しながら性奴隷とされた。
1945年 シンガポールで日本軍第16軍の第10陸軍病院で看護士とされた末、米軍捕虜収容所に収監。
1947年 帰郷
1992年 3月 日本軍「慰安婦」被害を公開、活動開始。
1992年 8月 第1回日本軍「慰安婦」問題解決のためのアジア連帯会議で証言 1993年 6月 ウィーン世界人権会議で証言。
2000年12月 日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷に原告として参加、実情を文書で証言。
2010年 7月 米カリフォルニア州グレンデール市議会から「勇敢な女性賞」受賞。
2011年 3月 日本の東日本大震災の被害者を支援する募金を提案、第1号寄付。
2012年 3月 挺対協と共に戦時性暴力被害者を支援する「ナビ基金」を設立 2012年〜16年 国連人権理事会、米国、英国、ドイツ、ノルウェー、日本など毎年、 数回にわたって海外キャンペーンに出掛け、戦争のない世界、戦時性暴力被害者を生 まない世界のため活動。
2013年 7月 海外初の「平和の碑」(平和の少女像)の米グレンデール市除幕式に参加。
2014年 3月 韓国軍の性暴力に遭ったベトナム人被害者に謝罪と支援のメッセージを映像で送る。
2015年 5月 国境なき記者団、AFPが「自由のために戦う100人の英雄」に選定。
2015年 6月 戦争/武力紛争地域の子どもたちに奨学金として5千万ウォンをナビ基金に寄付。
2015年12月 大韓民国国家人権委員会から2015大韓民国人権賞国民勲章受章。
2017年 7月 日本の朝鮮高校の生徒2名に金福童奨学金を授与。
2017年 8月 死後に遺る全財産の寄付を約定。
2017年 9月 ソウル特別市名誉の殿堂に選定。
2017年11月 韓国浦項地震の被害者のため1000万ウォンを寄付。
2017年11月 正義記憶財団から女性人権賞を受賞。
2017年11月 女性人権賞の賞金5000万ウォンを武力紛争地域の性暴力被害者の支援と活動のために「金福童平和賞」を制定、正義記憶財団に寄付(第1回受賞者:ウガンダの内戦時性暴力サバイバーで人権運動家のアカン・シルビア) 2017年12月 国際女性人権団体である、「性平等遺産の壁」に金福童ハルモニと挺対協を選定。
2018年 6月 日本の東京で一般社団法人希望のたね基金主催の集会に参加、発言。在日朝鮮学校の生徒たちに金福童奨学金を授与。
2018年 9月 日本の大阪に来られ、台風で被害を受けた朝鮮学校をお見舞いに訪れる。
2018年12月10日 「金福童の希望」名誉会長に就任
2018年11月22日 在日朝鮮学校支援のため5000万ウォンを「金福童の希望」に寄付
2019年 1月 正しい義人賞受賞、賞金500万ウォンを在日朝鮮学校のため「金福童の希望」に寄付

日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯

2019年01月28日(月) No.57 (訃報)

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